(番組放送日:2014年3月27日)

※この情報は放送当時のものですので、現在は変更されている場合がございます。

すり傷や切り傷の処置といえば患部を乾かし、傷口を消毒するのが常識です。でも実は、その方法だと治りが遅く、傷跡が顔や体に残ってしまうらしいのです!痕は残さず、できれば早く治したい。そんな誰しもの願いを叶える画期的な治療法「湿潤療法」をご紹介します。

夏井睦

今回教えてくれるのは、東京練馬にある練馬光が丘病院で「傷の治療センター」という専門外来を開いている夏井睦先生。年間1万2千人以上を診察する、湿潤療法の考案者で傷・火傷治療のエキスパートです。

湿潤療法の驚くべき効果

従来の常識を完全否定するという湿潤療法。 実際の例で見てみましょう。いかにも痕が残りそうな、この方の傷もわずか10日で完治しました。

治療前
10日で完治

赤ちゃんのお腹にできた火傷による水ぶくれも、2ヶ月で跡形もなく完治しています。

赤ちゃん治療前
赤ちゃん治療後

これが「消毒・乾燥」という従来の常識を全否定する、湿潤療法の効果なのです。

消毒・乾燥をやってはいけない理由

今までケガをすると、真っ先に消毒、乾燥をするのが常識でした。しかし、その何がいけないのでしょうか?
実は消毒薬は、細菌細胞のタンパク質を破壊することで殺菌をしています。

消毒薬

そして、細菌だけでなく、傷口付近の細胞まで同時に破壊。
つまり、良かれと思っておこなっていた消毒の結果、傷口が余計に広がり、回復を遅らせることになっていたのです。

余計にひろがる

また、もう一つの常識である「傷の乾燥」もやってはいけないと先生は警鐘を鳴らします。
従来は、通気性のよいガーゼで覆い傷口を乾燥させていましたが一体なにがダメなのでしょうか?

ポイントは「カサブタ」。
これまで回復の目安とされてきたものですが「カサブタ=回復」は大間違いだと先生は言い切ります。カサブタの正体、それは、傷口を乾燥させたことで干上がって壊死した細胞が固まったものだからです。

カサブタ

乾燥した状態が続くと、カサブタを剥がせば剥がすだけ細胞が壊死。
皮膚は完全に再生せず、その結果、傷痕になってしまいます。

傷痕

洗って貼るだけの湿潤療法

「湿潤療法」は夏井先生が考案した世界で初めての治療法です。
やり方はいたってシンプル。
傷口を水道水で洗い、なにも薬を塗らず、茶色いシートを貼るだけ。

水道で洗う
傷口シート

しかし、たったこれだけでなぜ、傷が治るのでしょうか?

まず、傷口を水道水で洗っていたのは細菌を洗い流すため。
消毒液を使わずとも、これだけで充分なのだそうです。

水洗いだけで殺菌

傷口に貼る茶色のシートはハイドロコロイド被覆材という空気を遮断し、傷口の乾燥を防ぐためのシート。 肌に貼りつかないので、はがすときも痛くないという優れものです。

ハイドロコロイド被覆材

ジュクジュク傷でも治るメカニズム

乾燥させないので、傷口はジュクジュクになり、悪化しているようにも見えます。でも、ご安心ください。このジュクジュクこそ回復しているサイン。このとき、傷口から「傷を治す物質」が出ているんだそうです。

ジュクジュク状態

ジュクジュクなのは傷口から「滲出液(しんしゅつえき)」という物質が分泌されているため。この滲出液こそ傷を治す成分がたくさん入った細胞成長因子。

滲出液

それが乾くことなく分泌されることで皮膚の再生がどんどん促されます。

これによって、傷口が生きた細胞で埋め尽くされ傷跡を残すことなく回復するといいます。

傷痕が残らない

しかし、傷口がジュクジュクになると化膿の不安がありますが、その心配もありません。
湿潤療法の場合、滲出液が常に出ているため 細菌が同じ場所にとどまることができません。
むしろ、乾燥させてできるカサブタのほうが、細菌がとどまる温床となり大増殖し、化膿しやすくなるといいます。

増殖しやすい

消毒しない、乾かさない。傷治療の常識を根底から覆す湿潤療法。
1日1回、自宅で傷口の水洗いとシートの貼り換え、シートに滲出液つかなくなったら傷が治ったサインだそうです。

※本記事の情報は特定の医師や医療機関への受診を推奨するものではありません。医師や医療機関へ受診はご自身の判断で慎重に行って下さい。