(番組放送日:2016年1月7日)

※この情報は放送当時のものですので、現在は変更されている場合がございます。

腰痛は、現代人が抱える体の悩みの中で、堂々の第1位!なんと、3000万人近くの人が腰痛に苦しんでいるそうです。これだけ多くの人が悩んでいるのには、ワケがありました。
なんと、整形外科で精密検査を行っても原因がわかる慢性の腰痛は、わずか15%!
残りの85%は原因不明で、治療の方法すらわからない、お手上げ状態なんだとか。ところが、そんな原因不明の腰痛患者を救う、画期的な治療法がありました!


大谷晃司先生

今回お話をうかがったのは、整形外科で慢性腰痛の治療を行う、福島県立医科大学附属病院の大谷晃司先生。腰痛治療のエキスパートです

腰痛の原因は腰にはない?

福島県立医科大学附属病院では、およそ3週間の入院プログラムを組んで腰痛治療を行っています。そこでは他の病院では見られない画期的な取組みが・・・。この会議室にズラリと勢ぞろいしているのはさまざまな分野のドクターたち。

画期的な取り組み

彼らがひとりの腰痛患者に対し、分野の垣根を越えて意見交換しながら、原因不明の腰痛を治療します。5年前に強い痛みに襲われて以来、時には歩くことすらままならないほどの、腰痛に苦しんできたという患者さんがいらっしゃいました。それまでの病院での診断結果は、「腰椎分離すべり症」。手術しか治療方法はないと言われたそうです。

しかしこの病院で総合的に調べた結果、なんと、手術とまで言われた腰椎分離すべり症は、腰が原因ではありませんでした。神経ブロック注射を打って腰椎の患部を麻痺させたものの、腰痛は治まらなかったそうなんです。ではこの患者さんの腰痛の原因は、どこに・・・?

原因を解明するため、この病院では、普通の整形外科では滅多に行われない診察方法をとっています。
それが、BS-POP問診票という、腰痛の原因を調べるための特殊なアンケート票。

BS-POP問診表

その内容を見ると、腰痛とは直接関係がないような質問ばかり並んでいます。さらに問診で家族や現在の収入への不満などを聞いていき、大谷先生が腰痛の原因として導き出したのは、意外にも頭!
なんと、ストレスや不安などのネガティブな感情によって、脳や伝達機関の機能障害が起こり、体の痛みが強く感じられるようになるというのです。

これは腰痛を生む機能障害「DLPFCの萎縮」。これが、腰痛を生む機能障害のひとつ。DLPFCは、脳の前頭前野にあり、痛みをコントロールする役割を持つ領域。しかし、ネガティブな感情などによって、機能が低下してしまうと言われています。

本来、痛みは電気信号として脳に伝わり、脳が興奮状態となって痛みを感じていますが、その興奮状態を鎮め、痛みを消してくれるのがDLPFC。しかし、その機能が低下すると、脳の興奮状態がいつまでも続いてしまうのです。

たとえ痛みがなくても、痛みに対する不安や恐怖をいだくだけで、脳が勘違いし痛みを感じてしまうことも。そんな脳の誤作動と腰痛の関連を調べるために、BS-POP問診票があります。

認知行動療法とは

認知行動療法

では、脳が勝手に感じる痛みをどう治療するのか?大谷先生が取り入れているのが、「認知行動療法」。この治療法は、「認知療法」と「行動療法」の2つから成り立っています。
まずは、「認知療法」。これは患者さんに、体に異常がないことを何度も伝える治療法です。

脊椎を輪切り

「これが脊椎を輪切りにした所、これなんか正常!50代の腰には思えないくらい正常、キレイな背骨です」
大谷先生が、画像検査の結果を元に腰に問題がないことを改めて患者さんに伝えます。さらに別の日にも、腰に問題がないことを、何度も何度も繰り返し訴え続けます。
治療の第一歩は、腰痛の原因は腰にないことをわかってもらう。腰が悪くて痛いわけではないと、知ってもらうことが重要なのです。

そして、その上で行うのが「行動療法」です。理学療法士の指導の元、少しずつ腰を動かしていきます。

腰を動かすと効果ある

自分の腰は大丈夫、そう自信を持って、前屈など少しずつ腰を動かしてみる。これが原因不明の慢性腰痛の治療に最も効果があるそうです。
これが脳の機能障害を回復させて、痛みが少しずつ取り払われていく治療法です。

脳に問題

治療の効果

エアロバイク

最初は、少し腰を動かすだけでも恐る恐るだったこちらの患者さん。
入院から20日目・・・なんとそこには、軽快にエアロバイクをこぐ姿が!
手術をするしかないと絶望していたこの方に、回復の兆しが見え始めました!こうして、この病院を退院した人の多くが、改善に向かっているようです。

※本記事の情報は特定の医師や医療機関への受診を推奨するものではありません。医師や医療機関へ受診はご自身の判断で慎重に行って下さい。